クラウドサービスの分類として用いられるSaas、Paas、Iaasですが、まだ言葉の意味を理解していない人も多いのではないでしょうか。
または、なんとなく知ってるけど、聞かれると答えられない人も少なくはありません。
そこで今回は、一般的な意味から例を用いてこの3つの要素の違いを解説していきたいと思います。
層の概念を理解する
ITサービスと言われて、イメージすることが多いのは、所謂アプリケーションと呼ばれるものではないでしょうか。
例えば、Gmailだったり、LINEやTwitterだって用途は違いますが、全てアプリケーションに分類され、様々なデバイス上(iPhone,PCなど)で起動しています。
アプリケーションは、派手な画像や便利な機能として、私たちの目に写っていますが、これらは全てコードと呼ばれるプログラミング言語によって、実行されているプログラムにすぎません。
これらは当たり前の様に使えていますが、実はしかるべきコンピュータの性能やアプリケーションが実行される環境があって、初めて実行することができるプログラムになります。
例えば、PCを選ぶときにはメモリやCPUなど、どれだけデータの保存ができ、どの位処理速度があるのかを見たりすると思います。
また、そのスペックに従ってOSと呼ばれる、様々な便利な機能を実行するための環境があり、そのOSに対応したアプリケーションを私たちは使っています。

携帯のAndroidとiPhoneはOSが異なるので、Android専用のアプリがあるのはそのためなんですね。
この様にITの世界ではアプリケーションという表面的なものだけではなく、「PCリソース(メモリやCPU)があり、その上にOSなどアプリケーションを実行するための環境が存在する」という階層的な構造になっていることをまずは理解しておきましょう。
その前提で、Saas、Paas、Iaasの違いについて解説を進めていきます。

クラウドサービスの階層構造
簡潔に言ってしまうと、SaasとPaasとIaasの違いは、サービスの提供範囲であると言えます。
クラウドサービス は階層的に分割することができ、どこまでをクラウドプロバイダー(≒サービス提供者)で提供するかが違いを理解するためのポイントになります。
ここで、クラウドサービスの全体像を掴み、各層がどの様な役割を果たしているのか理解していきましょう。
ハードウェア
ハードウェアは「筐体」や「箱」などと呼ばれたりしますが、物理的に存在しているものと理解するのが良いでしょう。
メモリやCPUなどのコンピュータスペックもここに含まれています。クラウドサービスで言うとサーバ本体がハードウェアに当たります。
OS
OS(オペレーティングシステム)は、ハードウェア上で動いている全てのシステムの実行環境であり、基本的な処理を行っている層になります。
OSがなければデスクトップの画面は表示されませんし、文字の入力やカーソルを動かすこともできません。
便利なアプリをインストールして実行できるのもOSが処理を行なっているおかげです。
代表的なOSとしてはWindows OS、iOS、Linuxなどがあります。
ミドルウェア
この中では一番馴染みのない言葉かもしれませんが、こちらもOSと同じくアプリケーションの実行環境になります。
OSは基本的なソフトウェアと呼ばれることもあり、汎用的な処理を行いますが、ミドルウェアはOSではできない複雑な処理を行うことができます。
OSで届かないアプリケージョンとの架け橋をミドルウェアがやっているとイメージすると分かりやすいと思います。
代表的なミドルウェアは、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバの3つになります。ここの詳しい説明は今回は省略します。
アプリケーション
最後にお馴染みのアプリケーションになります。こちらは一番ユーザに近いソフトウェアであり、ユーザの利用用途に合わせて設計されたプログラムになります。
LINEもインスタもソーシャルゲームも全てアプリケーションになります。
Saas、Paas、Iaasの提供範囲
前項の冒頭で説明した通り、SaasとPaasとIaasの違いは、サービスの提供範囲です。
先ほど、図で示したクラウドサービスの階層構造をもとに、それぞれの提供範囲がどこにあたるのか、詳しく見ていきましょう。
Saasの提供範囲
Saasは、全てサービス提供者が管理しています。無駄な管理作業が減る大きなメリットもありますが、開発の目線で言うとカスタマイズ性は低いと言えます。
基本的にはそのサービスを利用すること自体に価値を感じるユーザ向けのサービスになります。
Paasの提供範囲
Paasは、ミドルウェア〜ハードウェアまでをサービス提供者が管理します。
アプリケーションは範囲に含まれていないので、主にアプリケーション開発に専念したいユーザが多く使うサービスです。
しかし、OSやミドルウェアの使用が制限されてしまうので利用するときは注意が必要です。
Iaasの提供範囲
Iaasは、ハードウェアをサービス提供者が管理します。
ミドルウェアやOSなどの実行環境のカスタマイズができ、非常に自由度の高いサービスとなっていますが、管理作業にかかる負荷は高いです。
例えばセキュリティ対策やOSのアップデートなども自分で行なっていく必要があるため、専門的な知識なども必要になってきます。
まとめ
今回はクラウドサービスが普及してくるに当たり、その基礎となるSaas、Paas、Iaasの違いについて解説してきました。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、どれが自分が使うのにふさわしいサービスなのか理解してクラウドサービスを利用していくと良いでしょう。
コメント