ローン・パーティシペーションとは何か?わかりやすく解説【簿記・会計】

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ローン・パーティシペーションとはなんでしょうか。

今回は、簿記の勉強で登場する、「ローン・パーティシペーション」について小学生でもわかるようにと思い、できるだけわかりやすく解説していきます。

※筆者独自の解釈が含まれますので、ご了承ください。

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ローン・パーティシペーションとは?

まず、ローン・パーティシペーションの単語に注目しましょう。ローン(loan)とは「貸付け、融資」のことです。パーティシペーション(participation)とは、「参加」です。つまり、合わせると、「貸付けへの参加」になります。

そうです。ローン・パーティシペーションとは、すごく簡単に言えば、「貸付契約の債権者として得られる元利金や貸倒リスク」を参加者に売っちゃおう!!」というイメージです。

少し固く説明しましょう。ローン・パーティシペーションとは、債権の流動化の1つの形態であり、日本公認会計士協会「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」(会計制度委員会報告第3号)によれば、次のように書かれています。

ローン・パーティシペーションとは、金融機関等からの貸出債権に係る権利義務関係を移転させずに、原貸出債権に係る経済的利益とリスクを原貸出債権の原債権者から参加者 に移転させる契約である。

出典:日本公認会計士協会「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」(会計制度委員会報告第3号)

この定義は言葉が難しいですよね。もう少しわかりやすい言葉で説明しましょう。

例えば、金融機関(当社)がお金をA社貸したとします。そうすると、当社とA社は債権者と債務者の関係になります。つまり、当社はA社に対してお金を返してもらう権利があり、A社は当社に対してお金を返さなければならない義務があります。ここで、当社はA社との債権者債務者の関係を維持したままで、投資家などの参加者に対して、A社との金銭貸借契約によって生じる経済的利益(債権の元本、利息などのリターン)とリスク(A社の債務不履行など)を売却する契約を結びました。

この契約のことを、ローン・パーティシペーション契約と言います。

特徴として、元々の債権者と債務者の関係(上記の例だと当社とA社)は、ローン・パーティシペーション契約を締結したとしても残るということです。

債権譲渡のように、債権者が変わるわけではありません。債務者(A社)からみれば、この取引はなんら変わりありません。ずっと、債権者は当社です。債務者(A社)の承諾を得ずに勝手に当社が参加者(投資家など)に対して、元利金を受け取る権利を譲渡しているイメージです。

そのため、第三者である参加者(投資家などのローン・パーティシペーション契約を締結した相手)は、直接債務者(上記の例だとA社)に対して、直接の権利行使はできません。

ここで、元々の契約(当社とA社の金銭貸借契約)の当社のことを原債権者と言います。A社のことを原債務者と言います。

そして、このローン・パーティシペーションでは、リターン(元利金など)に加え、リスクも参加者に移転することになります。

元利金の支払は原債務者から元利金を受領した場合にのみ行う」という条件をつけて移転していますので、当然と言えば当然です。

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ローン・パーティシペーションのメリット

私なりに、ローン・パーティシペーションのメリットを紹介します。

原債権者のメリット

大きく5点あると考えています。

  1. 元利金の受け取りを全て放棄することになるが、その分、債務不履行などのリスクを軽減できること
  2. 貸付債権を貸借対照表からオフバランス化できること(容認)
  3. 参加者からの手数料収入を確保できること
  4. すぐ手元に資金が入ること
  5. 債務者の承諾や通知等の手続きが不要であること

原債務者のメリット

特にありません。原債務者にとっては、元々の契約通り、原債権者にお金を返せば良いということには変わりありません。ローン・パーティシペーション契約を結んだからといって、特に変化しません。

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ローン・パーティシペーションの会計処理

ここからは会計処理についてです。会計処理は、原則法容認法の2種類あります。

原則法

債権譲渡として扱わず、参加者との取引を別個のものだとして会計処理する。

原則法は、債権譲渡として扱わずに、別の取引として認識します。別の取引として見るので、原債権者は、原債務者に対する債権(貸付金)は残り、参加者からの債務(借入金)として二つの取引を独立させて考えます。

原債権者は、原債務者との関係がLP契約前と同様に続きます。完全に、譲渡されたわけではありません。そのため、この原債権者と原債務者との貸付契約とは残しておきます。

全く別のものとして参加者との取引を借入取引として会計処理します。参加者からお金をもらうので、借入取引とします。

容認規定

債権譲渡として会計処理する。

容認規定では、債権譲渡として扱います。債権を譲渡(売却)してしまうと考えるので、原債権者からすれば、原債務者に対する債権(貸付金)が消滅することになります。

本来なら債権譲渡ではないですが、実態としてはほとんど同じようにみなせる場合は、会計処理上、債権譲渡として扱えるわけです。

この容認規定を使うには要件があります。

以下、抜粋

(1) 貸出参加の対象となる原債権がローン・パーティシペーション契約上個別に特定され ており、参加割合について、原債権の貸出条件(返済期日、利率等)と同一の条件が原 債権者と参加者との間にも適用されること

(2) 原債権者が、参加利益の売却により、原貸出債権に包含されている将来の経済的利益 を実質的に全て享受することができる権利を放棄しており、かつ、原債権者は参加利益 の対象である原貸出債権から生じるいかなる理由による損失についてもリスクを負わないこと。

(3) ローン・パーティシペーション契約において、原債権者は、参加者に対する参加利益 の買戻しの義務を負っておらず、かつ、原債権者に対し、当該参加利益を再購入する選択権が付与されていないこと。

出典:日本公認会計士協会「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」(会計制度委員会報告第3号)

 

この3つが全て満たされれば容認規定として処理します。

要件が難しいので簡単にしてみましょう!

①原債権の貸出条件(返済期日、利率等)と同一条件

②経済的利益の放棄といかなる理由のリスクを負わないこと
③買い戻し権や再購入選択権のないこと

この三つの条件を満たすということは、ほとんど債権譲渡の実態と近いということになります。よって、この要件を満たせば、債権譲渡と同じように容認規定で処理します。

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