企業会計における当期業績主義と包括主義の違いは?【公認会計士・簿記】

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企業会計における損益計算書の勉強をしている方は、「当期業績主義損益計算書」と「包括主義損益計算書」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

この「当期業績主義」や「包括主義」とは一体何でしょうか。

この記事では、当期業績主義と包括主義についての意味や違いについてを初心者向けに分かりやすく説明します。

当期業績主義と包括主義

損益計算書を作成するにあたって、「どのような収益や費用をその損益計算書の計算対象に含めるのか」により2つの考え方があります。それが、「当期業績主義」と「包括主義」です。

もっと簡単にいえば、企業の経営成績を表す資料に、どんな項目の収益と費用を含めるかの違いです。

では、それぞれ簡単に違いを見ていきましょう。

当期業績主義

✔️当期業績主義

ある会計期間において、企業が本業である営業活動によって獲得した利益を示すことを目的とする考え方

「当期業績主義」を漢字でそのまま理解すれば、「当期における企業の業績に着目した考え方」と解釈できますよね。まさに「業績」を中心に考えているんです。

当期業績主義の損益計算書では、企業の当期における経常的な収益力を表しています。つまり、毎期反復的・継続的に生ずる収益と費用のみを損益計算書に反映しています。この考え方では、特別損益は除外されます。

特別損益とは、本業以外の非経常的・非反復的な事象や取引から発生した損益のことで、典型的な例は火災や自然災害による損失です。

何度も言いますが、当期業績主義の損益計算書のポイントは、特別損益を算定要素に含んでいない点です。あくまでも企業が本業によって経常的に稼いだ利益を計算しようというものです。

当期業績主義損益計算書で計算されるものは「経常利益」です。

(蛇足)

財産法により算定される利益は、純資産の増加の原因分析・区別を行わないため、特別損益が考慮されています。

従って、当期業績主義損益計算書において算定表示される最終利益(経常利益)と、財産法により算定される利益は等しくはなりません。

包括主義

✔️包括主義

ある会計期間において、企業が獲得した処分可能な利益を示すことを目的とする考え方

「包括主義」を漢字でそのまま理解すれば、全体を含める考え方となりますよね。包括主義は、企業の全ての収益と費用を計算に含める考え方です。

包括主義損益計算書では、「当期業績主義」で算出される経常利益に加えて、特別損益も計算対象になります。経常利益から特別損益を考慮した上で最終的な利益を出すので、つまり、「当期純利益」を出すことになります。

包括主義損益計算書で計算されるものは「当期純利益」です。

特別損益と似た言葉に臨時損益があります。それは、特別利益の中の1つに臨時損益がありますので、包含関係です。

まあ、こんな感じでしょう。

✔️特別損益

  • 臨時損益
  • 前期損益修正項目

特別損益のことはこれ以上触れません。話を戻しましょう。

包括主義の考え方では、本質的には事業活動に資本を投下(投下資本)することで回収できた資本(回収資本)のうち、投下した資本分を差し引いてなお余る資本(余剰資本)を、処分可能な利益として捉えています。これを投下資本の回収余剰と言います。

イメージとしては、

処分可能な利益 = 回収余剰 = 回収資本 ー 投下資本

の計算式です。ざっくりこんなイメージで捉えておけばいいと思います。(正確には正しくないかもしれないです。あくまでもざっくりとしたイメージです。)

包括主義損益計算書のメリットとして、「一致の原則」があります。

✔️一致の原則

企業の成立から解散までの期間(存続期間)における、【期間利益の合計】と【全体利益】とが一致するという原則

包括主義損益計算書において、期間ごとに算出された利益(期間利益)の合計が、企業のこれまでの総利益と一致するというものです。

分かりやすいですよね。これまでの企業の利益が把握しやすいです。

日本の損益計算書はどっち?

では、実際に企業は「当期業績主義損益計算書」と「包括損益計算書」のどちらが採用されているのでしょうか。

現行の企業会計原則では、基本的には「包括主義損益計算書」を採用しています。特別損益も計算対象に含めています。

しかし、段階的に算定表示する利益の一つとして、経常利益の算定表示も求められているので、算定過程として経常利益は把握できるのです。

つまり、包括主義損益計算書が採用されているものの、計算過程で「当期業績主義」も含まれているのです。

包括主義では、正常な収益力を把握することができないという欠点があります。それを補うために、損益計算書を企業の主要な活動ごとに区分し、その区分ごとに段階的に利益を計算する形式をとっています。計算過程で、売上高、営業利益、経常利益、特別利益などが出てきますよね。

まとめ

当期業績主義と包括主義について説明してきました。いかがだったでしょうか。では、軽くまとめましょう。

✔️当期業績主義

企業の本業である営業活動によって獲得される利益の表示を目的とする考え方です。当期業績主義損益計算書では、経常利益を算出します。

✔️包括主義

企業の処分可能な利益の表示を目的とする考え方です。当期純利益を算出します。包括主義計算書では、当期純利益を計算します。

日本では、基本的には「包括主義損益計算書」が採用されています。ただし、計算過程において、「当期業績主義」の利点も有しています。

良いとこ取りですね。

当期業績主義と包括主義について理解できましたか?参考になれば幸いです。

 

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